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ジャノメチョウのお話
     

  

 ヒメウラナミジャノメの成虫は5〜9月に見られ、多化性です。この多化性というのはどういう意味でしょうか。見慣れない言葉ですが、成虫の出現サイクルのことを意味します。つまりチョウは年に数回成虫が発生する種がいるということになります。一見、ガに見えてしまう地味なチョウです。その生態も日陰の地面スレスレのところを止まったり、飛んだりの不規則な動きの繰り返し。アゲハチョウのように優雅に舞うという表現とは似つかないチョウです。チョウとガの分類についても決定的な差異はなく、外国ではこれを区別しない国もあるようです。
 和名の通り、ジャノメチョウの最大の特徴は「蛇の目」です。敢えて地味な翅の色に目立つ目玉模様があるのは、天敵の鳥がこの目の模様を狙ってくることで翅が傷つくものの、急所を逃れることができるからだと考えられています。生物の模様や生態には生き残るための戦略が具現化され、またそれが生活様式となって現れます。こういった生物の特徴に焦点を当てて、何かを探求するのも面白いですね。図鑑には載っていない、今まで知らなかった知識との出会いは時間を要しますが、とても価値のあるものだと思います。